2019年03月08日

ビザ延長という名のイニシエーション

1年に一度必ず通過しなければならない儀式が終わった。ブログのタイトルにもあるように「ビザの延長」である。

チェンマイイミグレーションが新しくなってから初めてのビザの延長。毎年、外国人はこの通過儀礼に悩まされている。時間がかかるし、朝早く行って早い順番票を取らなければならない。新しいイミグレになって効率的に仕事がされるようになったとの噂を聞き、今回は、まだ暗い早朝に出発せず、8時頃に家を出た。

8時半頃イミグレに着き、順番票は13番目、何か早そうな番号だった。「90日レポート」というメンドーなもう一つの仕事も同時にこなし、10時前には一年間のビザ延長の許可のスタンプが捺されたパスポートが返ってきた。以前と比べて驚くべき速さ。「やれやれ、終了」とほっと一息つき、もう一つの仕事、「リエントリーパーミット(タイ国外に出るときにビザが無効にならないための手続き)」をしようと、また受付に並んで、係員に必要書類を見せた。が、係員曰く、「ビザのコピーが足りない」とのこと。今取ったばかりのビザのページのコピーがいるらしい。

「けっ、メンドくさいことを言いやがる。今日ビザの延長したんだからコピーがなくて当然だろ」
心の中で悪態をつく。

「コピー機はどこ?」と尋ねると、「建物を出て向こう」と言う。建物を出てキョロキョロ周りを見渡してもコピー機がないので、また戻り「どこ?」と聞きなおすと、何でも交通量の多い前方の道を渡って、向こうの建物へ行かなくてはいけないらしい。

「ゲッ・・・・」
やる気が失せてしまった。どうせしばらくしたら捨ててしまうだけの書類一枚のために、なんで危険を侵してあんな所まで行かなければならないのか。そもそも職員が使っているパソコンにプリンターがあるんだから、一枚ぐらいそこでコピーをしてくれたらいいのに。係員に不条理を突きつけられ、消化しきれない思いが頭の中を駆け回る。

「帰ろう・・・・」
必ずまた来なければいけないが、帰宅することを選択。やってられない。

胸の中をモゴモゴする苛立ちを抱え、そもそもビザの延長ってなんなんだ、といろいろ考えてみた。

ビザ延長というのは要するに在住外国人に対する嫌がらせのようなものなのか。疑似共同体である「国家」、タイという国に外国人が疑似共同体の一員として認められるための苦難のハードル。それがビザ延長という名のイニシエーション(通過儀礼)である。意味のないことを忠実にこなす従順さによって共同体の一員として認めてもらうというわけか。人間社会の中には必ずこういう不条理が内包されている。それは外国人だけではない、国民すべてが、法による国家の統治というもので目には見えない圧迫を受け、それが不条理と化し、さらには暴力となる。

200万年前にホモ・サピエンス(人間)が誕生し、1万年ほど前に農耕が始まった。狩猟採集から農業、これが人類の重大な変革点、人類は存続では満足せず、繁栄に向かって歩みだした。農耕によって定住生活となり「法」が生まれ、「身分」が生まれた。所有権が必要だったから。それから間もなく文字を作り知識のアーカイブに成功し、金属の精製によって技術力が増した。それからじわじわと文明を進化させ、200年前に産業革命、100年前から石油を使いだした。そして現在は情報革命とやらへ進化。

だが人間そのもののDNAは200万年前から変わっていない。所詮はおサルさんである。「法」で縛って疑似共同体を作ったはいいが、「法」で縛られることに身体がついていってない。それは窮屈であり息苦しい。ビザの延長が終わって「ほっと一息」つくというのも、それだけ身体は法によってストレスがかかっていたからである。我々の生活はこのように目には見えないバリケードが張られた空間を、おっかなびっくり避けながら生きていかなければならない。狩猟採取生活のときにはこんなストレスはなかったはずだ。

社会学者の先生によれば、そういった法による身体的な圧迫を解放するために、どこの民族にも「祭り」があり、「祭り」という無礼講によってストレスを発散させてきたという。法を作れば、「法外」というものも社会の中に必要になるわけだ。法を作り、法さえ守ってさえいれば、社会は平和を保てると思っている「法令遵守主義者」が最近横行しているが、そういった人たちは、権力に完全に家畜化されたペット型人間か、社会に洗脳プログラミングされたロボット型人間だろう。ペットは自分がペットであることを客観的に認識できず、悪質な権力にまかれることを善しと受け取って非情となるから厄介である。

法外は特に祭りに限ったことだけではなく、密接な個人間のつながりにもある。家族で喧嘩して、いちいちその文言を録音して裁判に訴え、すべて法の上で解決してもらおうなんて、奇妙な話だろう。人と人との結びつきは感情の共感性である。相手の心が自分の心に響くところに、人間が人間たるゆえんがある。法で保証された人と人との結びつきなんて、真実性があるのか。だが、日本は法外の重要性が無視され、法を遵守させる方向に一直線に向かっている気配がある。法ばかりが重要視され、法外が無視されていくとどうなるか、人々はストレスに耐えきれなくなり、ドカンと「戦争」という最大級の法外に180度シフトしてしまうかもしれない。こんな窮屈な人生を送るぐらいなら、戦争のほうがましだ、と。

社会に法外という領域を、あいまいな部分を、「まあ、まあ、まあーー」で済まされる部分を残しておいて欲しい。ビザも、適当にしてもらえたらありがたい。

posted by 逍遥居士 at 18:19| Comment(0) | 情報ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月26日

ビエンチャン・タイ大使館情報

ビエンチャンにあるタイ大使館。
ビザ申請時間は8:30から12:00まで。

小生は今回気合を入れて、大使館の門の前で朝7:40分から並んだ。開門1時間前である。もちろん先客の列がすでにできていた。待っているうちに後方に一人増え、二人増え、どんどん尻尾が伸びてゆく。早くきて正解だった。
「ムフフ」
上位に並ぶ優越感で笑いが出る。しかし、影のない道路沿いに立たされ、強い直射日光に照らされているので卒倒しそうになった。そういえば、中学生のとき、体育館での朝礼時、教師の長いお説教を聞いているうち、目の前がテレビの砂嵐のような状態になり、思わず座り込んだことがあった。あとで貧血という症状だと知らされた。顔が真っ白になっていたらしいが、自分では自分の顔色が見えないのでどんなマヌケな顔になったか見ていない。ま、そんなことはいいが、長く立たされているうちにそんな記憶が蘇ってきた。とにかく忍耐である。

そういえば、朝食をとらずホテルから出てきた。おしっこが近くなることを恐れて、水分もまともに補給していない。なにやらフラつくのは脱水症状を起こしているからかもしれない。そばの売店で水が売られているが、これを買ったら負けのような気がして(なぜ負けなのか自分でもよくわからない)買うのを我慢した。

「早く時間よ過ぎろ」
強く念じるが、念じれば念じるほど時間の経つのが遅くなるらしい。時計を見るたび時計の針が3分ぐらいしか動いていない。

8時半になった。「よし、開門時間だ」。周囲の申請者もソワソワとしている。しかし、ここはラオス。そう時間ピッタリに動いたりしない。この微妙な時間がさらに長く感じる。直射日光がさらに強さを増す。門が開くのが先か、倒れるのが先か。「ううう――」

幸いなことに、倒れる前に門が開いた。

門が開くと、申請許可の小さい建物に列が流れる。以前は番号札をもらう機械を順番に押したはずだが、職員が番号を手で配っている。機械の調子が悪いようだ。小生の番がきたとき、ちょうど職員の手から番号札がなくなった。「なに!」、小心者の小生は焦った。しかし、職員は、番号札の出る機械に歩み寄り、機械のボタンを押してくれ番号札を出してくれた。機械は素人が押すと調子が悪くなるようなので、職員が押すようだ。

札の番号は28番だった。上位入賞だ。おめでとう。直射日光をガマンした甲斐があった。

椅子に座っていると、28番なのですぐに番が回ってきた。必要書類を窓口に提出した。すべて書類はそろっているはずだ。拒否されることはないだろう・・・・。しかし、若い女性職員は小生の書類を念入りにチェックし、一瞬ムッと顔をしかめた。彼女の顔が般若に見えた。「ヤバイ・・・・」。となりの先輩職員になにやらコソコソと話しかけている。心臓が高鳴った。もしや・・・。

職員は「しょうがないわね」といった感じで、許可の判子を無造作に押した。
「ケッ、ビビらせやがって」
ホッと一息。安堵とともに歓喜の気持ちが起こった。

番号札を持って別の大きな建物に入る。次はそこでお金を払うのだ。

建物の中はエアコンが効いている。しばらく待っていると順番になり、窓口で料金を支払い、領収書(翌日のパスポート受け取りの引き換え用紙)を手にした。

【翌日】
パスポートの受け取りは1時からであった。受け取りに時間はかからないが、早めに並んだ。――前回だったか、1時過ぎにのうのうと行ったら、パスポート返却まで時間がかかった。大使館から出ると、待ち受けているはずの国境行きのバスがほとんだ出払ってしまっていた。声をかけてくる運転手はバカ高い値段をふっかけてきた――。そのようなマズイ経験を踏んでいただけに、パスポート受け取りも慎重だった。

並び始めたのは12時15分。もちろん、もう列ができていた。この日は、飯をしっかり食べ、水分を補給し、貧血対策はうってきた。立ちくらみはしなかったが、時間が経つのは相変わらず遅かった。1時が過ぎてようやく門が開き、番号札を渡された。番号は57番だった。昨日よりは下位だが、それでも上位入賞だ。

めでたくパスポートを受け取り、大使館を出た。表には、国境行きのバスの運転手が烏合をなし客引きをしていた。とっととバスに乗り込んでしまいたいが、胡散臭そうな輩たちなのでしり込みした。声をかけてきた男は、「200B]と言ってきた。
「ムッ、高い!」
相場がよくわからなかったが、高い気がした。いかにも現地の相場を知りえているふりをして、「フン」と鼻を鳴らしてやった。そいつを無視して他の運転手に値段を聞こうとすると、男は「他の乗客には黙っていてくれ、君だけ100Bだ」と言い、すぐに2分の1にディスカウントしてくれた。

「うむ、よかろう」
潔い運転手の申し出を素直に受け、ワゴン車に乗り込んだ。ワゴン車にはすでに先客が乗っていた。運転手との約束を守り、他の乗客とは一切話をせず、お地蔵様のごとく沈黙した。確かに運転手は他の乗客へは200Bで交渉している。

しばらくして、ワゴン車は出発した。
タイ大使館への旅は終わった。

posted by 逍遥居士 at 01:18| Comment(0) | 情報ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月25日

ビエンチャン宿情報

ビエンチャンはチェンマイに比べて宿が高い。エアコンなしの部屋で300バーツは覚悟しなければならない。

今回泊まった宿
『Viengvang hotel』
場所:タイ大使館のすぐそば。
値段:部屋のグレードによって違うが、安い部屋で650Bはすると思われる。値段交渉すれば少し安くしてもらえることもある。

部屋にはテレビ、ホットシャワー、エアコン完備。バスタオルも、石鹸も付いている。1日1本水をくれる。部屋はきれい。

一階は食堂で、すぐにさっと食べられる。一品料理(カオピアック)が40B。大盛りにすると60Bぐらい。

インターネットフリー。WIFIフリー。レンタル自転車もある。

最大長所、タイ大使館まで徒歩0分。

【欠点】窓がない。部屋は真っ暗なので何時になったのか見当が付かない。圧迫感がある。

テレビはSONY製だが、アンテナが悪いのか、番組がほとんど映らない。唯一映るのはラオスの国営放送。内容は非常におっとりしていて、あくびがでる。

ホットシャワーはあるが、メーカーは『FUJIKA』となにやら日本製っぽいが、日本製じゃなさそう。性能がいいとはいえない。小生は熱いシャワーを浴びるのが好きなのだが、ぬるいお湯しか出てこない。これもまたおっとりしている。

posted by 逍遥居士 at 22:00| Comment(0) | 情報ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月24日

チェンマイからビエンチャンへのアクセス

【チェンマイからビエンチャンへのアクセス】

普通は、チェンマイのバスアーケードからバスに乗って、ウドンターニまで行く。所要12時間ぐらい。ウドンターニは新バスターミナルと旧バスターミナルがあり、チェンマイからのバスは新バスターミナルに着く。そこからトゥクトゥクに乗り、旧バスターミナルへ行く。旧バスターミナルから国際バスに乗り換え、ビエンチャンへ行く。

今回小生がこのバスを利用しなかった理由は、時間がかかるということと、到着時間がタイ大使館ビザ申請受け付け時間ギリギリだということ。朝10時半頃までに着かないと申請を受け付けてもらえないと思われるが、ウドンターニから国際バス出発が8時から。ビエンチャン市内に着くのは10時を回ってしまう。かりに10時以前に着くとしても、チェンマイからのバスが、ウドンターニ到着が遅れると、国際バスに乗れなくなる。

【チェンマイからビエンチャンまでマイクロバスを利用する場合】
AYAというバス会社。オフィスは駅の近くにある。
チェンマイ―ビエンチャン片道850B 往復1500B
チェンマイ出発時間7:30頃。ノーンカーイ到着が朝5:30頃。
AYAのオフィスはノーンカーイにあり、早朝オフィスに到着すると、そこでラオスビザの必要な外国人は書類を作成する。日本人はビザ不要。7時にノーンカーイオフィスを出発し、タイ出国手続き、ラオス入国手続きを行う。パスポート審査が終わるとソンティオのようなバスに乗り込み、ビエンチャン市内まで行く。行き先を告げると、そこまで連れて行ってくれる。

ビエンチャンからの帰りは、自分でノーンカーイのAYAオフィスまで行かなければならない。ノーンカーイ出発は7時ごろ。翌朝、5時半ごろにチェンマイに着き、下ろして欲しい場所まで連れて行ってくれる。

【欠点】走行中のトイレ休憩は2回のみ。3,4時間に一回とる。気の利かないドライバーは、休憩にことはなにも告げず、いつ停まるかまったく予想がつかない。

エアコンが効きすぎて寒い。脂肪の厚い西洋人はへちゃらだが、細身の人はきつい。長袖を着て防寒しなければならない。

最大欠点は運転が荒いこと。暗い夜道をけっこうなスピードで飛ばす。運転を眺めていると寿命が縮む。事故を起こせば即死だろう。

posted by 逍遥居士 at 23:04| Comment(1) | 情報ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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