―――餃子は忘れ去られてしまったのか・・・。
不安げに待っていると、ようやく餃子がお目見えした。
日本の餃子は“焼き餃子”が定番であるが、ここの餃子は“揚げ”になっている。多分、鉄板の上で蒸し焼きにするという“焼き”の技術を知らないのだろう。
まあ、焼き餃子でも揚げ餃子でもどっちでもいい。そんなことよりも、まず言わせて頂きたいことがある。
「おい、小さすぎるぞ!」
かわいいのか、上品なのか、何なのか知らないが、これは何とも小さすぎる。ワシは“おこちゃま餃子”を注文した覚えはない。これも35Bという安さのトリックなのか。
味は、というと、可もなく不可もなく、それなりのおいしい餃子である。普通の餃子といってもいいだろう。
お会計となった。
とんこつラーメンと餃子、合わせて70バーツ也。
「70バーツでこれか・・・」
本物にありつきたかったら、やはりそれなりに金を出さないといけないらしい。ま、それよりも、チェンマイにいるというのに、日本食を食べようなんて気を起こしたこと自体が間違いだったのか。現地にいたら、現地のものを食べていればいいのだ。麺が食べたければ、クイティオやバーミーを食べればいいのだ。東京のタイ料理屋でクイティオを食べたら高いはずなのだから。
店を出てボソリと呟いた。
「ああ、何か物足りないないのォー」
















