こんな何の洒落っ気もない隠れ家的なレストラン、閑古鳥が鳴いているかと思いきや、そういうわけではない。意外に客がいる。宣伝なんかしていないだろうこの店に、皆どのようにたどりつくのだろうか。
メニューを見る―――。
値段は一品50バーツ以上。
肉を使っていないのに、なかなか強気である。
慣れない英語のメニューをじっと睨みつけた。菜食料理といっても、料理の品数が多い。スパゲティーとか、チャーハンとかいっても、いろいろな種類があり、その中から選ばなければならない。決めるに決めかね一番無難に、メニューの一番上に書いてあったものをとりあえず選んでおいた。
しばらくしたら、なかなか小洒落たスパゲティーが運ばれてきた。適当に選んだのに、ナイスなチョイスであった。ウヒョ!
60バーツなり。

これは知人が注文したチャーハン。お洒落である。
何の装飾もない原始的な店なのに、気取った料理が出てくるというアンバランスさがおもしろい。ちょっとした高級ホテルの料理のようである。店内を見回すと、西洋人の客が多い。ベジタリアンはちょっとしたブームなのだろうか。確かに西洋人はちょっと食べただけでもブクブク太るので、健康のためにも環境のためにも肉なんか食べずに、キャベツの芯かなにかをかじっていればいいだろう。そうすれば自ずとスリムな体型になる。
料理の味はそこそこ。しかし、量は少ない。この量の少なさが、余計にウマさを引き出しているのか。それとも、お寺だけあって、仏陀のご加護が味をよくしているのだろうか。
チェンマイ市内のレストランや食堂は、創意工夫のない料理ばかりであるが、そんな中、このような創作的な料理で勝負してくるなんてアッパレである。どのように料理を発案しているのだろうか。この質素なレストランに、その道の“達人”が潜んでいるのだろうか。
「ん〜ん、ヘルスィー!」
















