2012年08月06日

ワット・スワンドク・レストランPART2

ワットスワンドクの寺院内をずんずんと奥に進むと、建物の裏のわかりにくい場所に“レストラン”が存在していた。ろくすっぽ看板もないので、名前もないだろう。これは教えてもらわないとたどりつけなくて当然である。
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こんな何の洒落っ気もない隠れ家的なレストラン、閑古鳥が鳴いているかと思いきや、そういうわけではない。意外に客がいる。宣伝なんかしていないだろうこの店に、皆どのようにたどりつくのだろうか。

メニューを見る―――。
値段は一品50バーツ以上。
肉を使っていないのに、なかなか強気である。

慣れない英語のメニューをじっと睨みつけた。菜食料理といっても、料理の品数が多い。スパゲティーとか、チャーハンとかいっても、いろいろな種類があり、その中から選ばなければならない。決めるに決めかね一番無難に、メニューの一番上に書いてあったものをとりあえず選んでおいた。

しばらくしたら、なかなか小洒落たスパゲティーが運ばれてきた。適当に選んだのに、ナイスなチョイスであった。ウヒョ!
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60バーツなり。

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これは知人が注文したチャーハン。お洒落である。

何の装飾もない原始的な店なのに、気取った料理が出てくるというアンバランスさがおもしろい。ちょっとした高級ホテルの料理のようである。店内を見回すと、西洋人の客が多い。ベジタリアンはちょっとしたブームなのだろうか。確かに西洋人はちょっと食べただけでもブクブク太るので、健康のためにも環境のためにも肉なんか食べずに、キャベツの芯かなにかをかじっていればいいだろう。そうすれば自ずとスリムな体型になる。

料理の味はそこそこ。しかし、量は少ない。この量の少なさが、余計にウマさを引き出しているのか。それとも、お寺だけあって、仏陀のご加護が味をよくしているのだろうか。

チェンマイ市内のレストランや食堂は、創意工夫のない料理ばかりであるが、そんな中、このような創作的な料理で勝負してくるなんてアッパレである。どのように料理を発案しているのだろうか。この質素なレストランに、その道の“達人”が潜んでいるのだろうか。

「ん〜ん、ヘルスィー!」

posted by 逍遥居士 at 00:49| Comment(1) | 特選パワースポット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月05日

ワット・スワンドク・レストランPART1

奇特な読者諸氏から穴場的レストランの情報を頂いた。
なんでも、ワットスワンドークの寺院内にレストランがあり、そのレストランは一切肉料理を出さず、菜食料理専門店とのこと。しかも、その料理は非常に凝っており、ビジュアル的にも味的にも大いに満足したとのこと。親切に写真まで添付してくれた。
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これが花サラダとのこと。

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こちらがチャーハン。
これらの写真を見ただけで、料理が凝っていることが見て取れる。すばらしい。

しかし、
―――何かがおかしい。
ワシを腕を組んで、くすんだ記憶を必死で手繰り寄せた。
ワットスワンドクはチェンマイで有名な名刹のひとつである。何度も行ったことがある。ブログでも紹介したことがある。http://thai-powerspot.seesaa.net/article/232029110.html
しかし、どう思い起こしても、そのようなレストランは寺院内になかったはず。探求癖のあるワシは、寺院内隈なく歩き回り、アリの一匹一匹、コンクリートのひび割れの一つひとつまでつぶさに観察しているのに、そんなレストランがあったことなど思い起こせない。

本当にそのようなレストランがあるのだろうか?
不思議の国のレストランだろうか?
この情報がガセでなかったなら、それこそ隠れたパワースポットと呼ぶにふさわしい。

ということで、情報提供者殿をお供に、実際そのベジタリアンレストランに足を運んでみた。
(つづく)

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2012年07月16日

ベジタリアン食堂(ミンクワン)PART2

店内はこのように多種の料理が並んでいる。
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料理を指差し、「ごはんにコレとコレをのっけてくれ」てな感じで注文する。

これらは肉のようであるが肉でない。いわゆる肉モドキ。食べても肉のような歯ごたえで、肉のような味がする。クチャクチャとゆっくり咀嚼して味わえば、「さすが肉モドキ。カスカスしていて淡白だなあ」と正体が暴かれるが、それは「肉じゃないよ」と知った上でのことで、何にも言われなければ、永遠に肉と思い込むだろう。なんと巧妙に化けているのか! タイのオカマもかくの如き巧妙であるので注意したい。(タイのオカマ事情に関しては改めて述べたい)
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ワシはこのように二種類のおかずをのっけてもらった。
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値段は25バーツ。最近物価の上昇が著しく、焼き飯(カウパット)も30バーツするが、うれしい値段設定である。肉のようなものがのっているが、前述したように肉ではない。

ほかにもこのようなものもある。
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菜食というとストイックな感じがして、なんだか物足りなくお考えの諸氏もおるかと思うが、あったかいご飯におかずをのせて、ガッツリかきこむように食べるとそれなりに満足する。オススメである。だが、中には辛い料理もあるので注意したい。

posted by 逍遥居士 at 01:36| Comment(0) | 特選パワースポット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月15日

ベジタリアン食堂(ミンクワン) PART1

タイは便利な社会である。
フラリと通りに出ればいたるところに食堂があり、屋台があり、露天がある。よって、自炊なんかしなくても、簡単に、しかも安く食にありつける。

しかし、気をつけなければならないのは、外食はやはり“肉中心”になるということ。タイの食堂における定番の一品メニューは“カウ・カー・ムー”や“カウ・マンガイ”であるが、これらはご飯に肉がのっかっているだけで、野菜はまったくといっていいほど除外されている。味がウマイことはありがたいが、肉ばかり食べていると、ウ○コが頑固に硬くなってしまう。ニッポン人のDNAはやはりベジタブルを求めているのだろうか。

そうなると、「外食はダメだ」と速断する方もおられるだろうが、それは早とちりというものである。目を大きく見開いて街を散策すれば肉料理から逃れられる道はあるのだ。そう、タイには“ベジタリアン・フード”というのがあるのだ。日本では皆無に近いかと思うが、チェンマイ市内はチラホラとそういった“野菜原理主義”的な食堂がある。以前も、チェンマイゲート近くのベジ食堂を紹介したことがある。(http://thai-powerspot.seesaa.net/category/9310205-1.html

先月、街をブラブラしていたら、新たなベジ食堂を発見。ワット・プラシンからターペーゲートに向かって100メートルほどいった左手である。
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“新たな”とはいったが、もしかしたら、昔っから営業していて、単に見落としていただけかもしれない。しかし、“昔っから”といっても、縄文時代のことじゃあない。この場合、数年前のことをさしているだけである。――こんなことを書いていると長くなるから次へ行く。

タイ語では菜食のことをเจ(ジェー)といい、菜食の店のシンボルカラーは黄色らしい。だからといって、阪神タイガースとは無関係のようである。黄色は僧侶の袈裟の色で神聖な色なのだ。菜食家は家畜などを殺生しない慈悲深い存在なのだ。
(つづく)

posted by 逍遥居士 at 01:48| Comment(1) | 特選パワースポット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月17日

ワット・ウモーン

ワシはパワースポット探求のため、久しぶりにワット・ウモーンに足をのばした。

『ワット・ウモーン』、訳すると“トンネル寺院”。
チェンマイ市内の少し外れた山奥にある――、いや、“山奥”というと言い過ぎである。“丘の高台にある湿った林の中”と言えばいいのか。それゆえ雰囲気が街の寺とは異なる。街の寺は、喧騒の中にあって“アッケラカン”とした雰囲気だが、ワット・ウモーンは境内が樹木に覆われ“森閑”としており、いかにも霊気が漂っているという気配である。この寺は“瞑想寺”ということで、街の寺よりも厳格なのである。“これこそはパワースポット”という聖なる感じが漂っている。

――で、何ゆえに“トンネル寺院”なのかって?
そう、そうなのだ。日本にも“とんねるず”というコメディアンがいるように、この寺にも“トンネル和尚”というコメディーな僧侶がいるのである――、いや、そうではない、ほんのジョークである。理由はもっと単純で、仏塔の下に秘密のトンネルらしき穴が掘られているから、“トンネル寺院”なのである。

これが仏塔である。
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その下の土台に秘密のトンネルがある。霊気が充満しているらしく、昼間にも関わらず靄がかかっている。
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“穴があったら覗きたくなる”、業の深い衆生の心理である。本来なら、そんなリクエストに応えて写真を大公開!とするところだが、残念ながらワシはヒネくれている。そんなサービス精神旺盛な気の利いたことはしない。このトンネルに入った者のみ、穴の正体が知れるのである。来てからのお楽しみである。謎はそう簡単に公にならないのだ。自分の足で探し回り、自分の目で目撃し、自分の手でお触りし、自分の心で興奮し、自分の体で痛い目に遭う、それが人生ちゅうものなのだ、ヌハハハ。
――というよりも、正直な話、こんなオゴソカなところでフラッシュを焚いてパシャパシャ撮影することが何だか罰当たりに思えて、ワシは躊躇したのである。そう、聖なるところでは、それ相応の振る舞いが要求され、遠慮するところは遠慮し、引くところは引かないといけない。そういうモラルが必要なのだ。

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境内はグルリと歩くと、このような広い池があり、その周りで休息できる。濁った茶色い池にはナマズや亀がウヨウヨいて、養殖場のようになっている。売店には用意よく魚のエサやパンが売られており、参拝者がエサやりできるようになっている。タイではこうした行為は、功徳を積む“善行”ということになっており、大衆は盛んにエサやりをしている。

ワシもパンを買い、適度な大きなに千切って池にバラ撒いてやった。魚はバシャバシャと争うように集まり食べ散らかす。ずいぶん食欲旺盛である。人間界も同じ、お金をばら撒けば、同じようなことが起きる。ニンゲンもサカナも貪欲なこと、なんら変わりはない。どうやらこの茶色い池は、俗な下界をイメージしているようだ。“オゴソカなトンネル”と“茶色い池”、この両者は“聖なるもの”と“俗なるもの”の象徴か――、なんだかよくできている。

posted by 逍遥居士 at 22:04| Comment(2) | 特選パワースポット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月25日

ワット・ドイステープ PART3

ワシは老体に鞭打って階段を上った。春季キャンプ中のヤクルトスワローズの強化トレーニングのようである。太ももがパンパンになり、息がゼイゼイと荒くなり、汗が噴出し、クラリと目まいを起こした。
「ウ〜、標高1000メートルもあるのだ。空気が薄いのかもしれないゾ」
「全然薄くないですよ」
若い知人はヘラヘラと笑いながらこたえた。
「ウ〜、もしかしたら、ここはパワースポットゆえ、特殊な磁場の影響で重力が重いのかもしれないゾ」
「そんな、物理の法則聞いたことないですよ」
ワシのヘリクツはバッサリと否定された。聖なる地の試練は肉体だけではなく、人格にまで攻撃を加えてくるようである。

「――さあ、着いた」
階段を上りきって門をくぐると中庭のような造りになっていた。そこで靴を脱ぎ、さらに、仏塔に通じる門をくぐった。
そこには金ピカの仏塔が日中の強し日差しに照らされて光り輝いていた。
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さすが仏舎利を安置するだけの仏塔である。

こここそが仏舎利パワーが放射されるチェンマイ最大のパワースポットなのである。ワシは両目を閉じて両手を大の字に広げて天を仰いだ。
「・・・・・」
パワーを吸収しようとしたが、ガヤガヤと観光客で賑わっているため、そわそわとして落ち着かない。
「ダメだ、こりゃ」
聖なる地は賑やかな観光地に成り下がっているようである。聖なる雰囲気を味わおうと思ったら、誰も寄り付かない時間帯にコッソリ行かなければならない。
仏塔の周りをクルリと時計回りに一周して、仏塔の真下にある展望所に向かった。
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展望所からチェンマイ市内の俗な下界を見下ろすことができた。
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ワシは下界の風景をつくづくと眺めながら、若い知人に説法した。
「世俗の徒は、おカネ儲けと、権力の階段のぼりで、生命の炎を浪費していく憐れな存在なのじゃ。生きとし生ける者の苦しみの原因は“欲望”なのじゃよ」
若い知人はワシの説法を神妙な顔をして聞いていた。
しばらくすると、ワシは下界の風景に退屈を感じ、参拝客の若い女性のお尻を眺めた。

「そろそろ行きますか」知人が言った。
「そうじゃな」
「下りてから何か食べに行きますか。久しぶりにラーメンにしますか、それとも鯖定食にしますか」
「ウーン、そうだな――、鍋をつつくのも悪くないな」
ワシらはワット・ドイステープから去って行った。

現存する最古の仏教経典“スッタニパータ”の中で、ブッダは言った。
「実に欲望は色とりどりで甘美であり、心に楽しく、種々のかたちで、心を攪乱する。欲望の対象にはこの患いのあることを見て、犀の角のようにただ独り歩め」

道は遠く、煩悩の根は深い――。

posted by 逍遥居士 at 06:35| Comment(0) | 特選パワースポット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月23日

ワット・ドイステープ PART2

と、ある日のこと、知人が車の免許を取得したとの連絡が入った。
「それでね、早速新車を買っちゃったんですよ。逍遥居士に助手席に乗っていただいて、運転の練習がてらドライブなんてどうですか」
「で、どこへ行くのじゃ?」
「ドイ・ステープなんかどうでしょうか。山道でカーブが多いから練習するにはちょうどよさそうです」
「なるほどネ――」
ということで、ワット・ドイステープに行くことが決定した。長年縁がなかったが、とうとうドイステープの方から呼ばれたという形だ。

我われは新車の『ホンダ・ジャズ』をくりだして、ドイステープに向かった。
知人のジャズは買ってまだ一週間ほどだが、すでに2か所“擦った”らしい。
「大丈夫です。はじめの1年はタダで修理してくれますから、ハハハ――」
意地を張っているのか、何も気にしていないといった口調だった。
確かにチェンマイ市内は交通渋滞が激しく、さらにバイクがチョロチョロと脇を通るので初心者にとっては厄介である。だが、彼の場合、夜飲みに行って、飲酒運転した帰り“擦った”というから、タチがいいものではない。タイは飲酒運転の取り締まりがほとんどなく、飲酒運転が当たり前に行われている。夜の外出はシラフであっても事故に巻き込まれないように気をつけなければならない。

ワシは助手席にドカリと座り込み、教習所の鬼教官のごとく運転の指揮をとった。
「ダメだ、ダメだ、もう少し右に寄って」、「おい、ブレーキの踏み方が荒っぽいぞ」、「もっと思い切りハンドルを切って」と、たいして運転技術があるわけでもないのに声を荒げて教育してやった。

チェンマイ大学の裏山の山道をウネウネと上っていくとワット・ドイステープに向かう。
山道にも関わらず、道幅の広い立派なアスファルト道路が整備されている。立派なのはありがたいことだが、タイも日本と同様、道路族議員や土建屋がハバをきかしている気配である。

道にも迷わず、虎にも象にも遭わず、スイスイと頂上に着いてしまった。頂上には古色蒼然とした山寺がポツンとあるわけではなく、山奥に温泉街が突如拓けているように、賑やかそうなひとつの街ができていた。食堂があり、お土産屋があり、雑貨屋があり、露天があり、住居があり――、どうも山の上とは思えない。

我われは広い駐車場に新車ジャズを停めて寺院に向かった。寺院に行くためには長い階段を、自力で登らなければならない。しかし、タイはどこまでもラクにできている。ケープルカーも用意されており、労せずとも行けるようになっている。もちろん我われはケーブルカーなんぞ使うつもりはなかった。ケーブルカー代をケチるためだけではない。聖なる地にラクをして行ってはいけないのだ。やはり何らかの“苦難”が立ちはだかっていないと、“聖”なるものの価値が薄れてしまう。

我われは長い階段を見上げてゴクリと唾を飲み込み、仏舎利が安置されている聖なる仏塔を目指して、一段一段階段を上っていった。
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巡礼らしくなってきた。
(つづく)

posted by 逍遥居士 at 07:36| Comment(2) | 特選パワースポット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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