ワシの名前は逍遥居士。
世界を旅してパワーを集める仙術師じゃ。
昨今の小市民はテクノロジーの発達によって利便性と快適性を得たが、
いかんせん失うものも同量、同質にあって、
人の心が撹乱され、自然環境は蹂躙され、
息を吸えば排気ガスを吸い、街を歩けば騒音に鼓膜を刺激され、
食べ物を食べれば残留農薬を舐めさせられ、
なんとも目を覆わんばかりの現状じゃ。
そうした愚昧なシワ寄せが、
世界のパワースポットにもまた押し寄せ、
貴重な不可視のパワーが、
声をあげることなく静かに消えていっておる。
ワシは急いだ。「悠々として急げ」、だ!
ワシの脳天に付いているパワーアンテナによって、
パワーの微電流を察知し、
あるときは、中国雲南省で桃をかじり、
あるときは、ネパールのヒマラヤの麓でダンスをし、
あるときは、インドのガンガーでチャプチャプ泳ぎ、
あるときは、バリ島の海岸で柔軟体操をし、
まあ、そんなふうにパワー狩りにいそしんできたわけだが、
そうした長い放浪の果てにたどり着いたのが、
タイランドだった。
そう、タイはパワースポットの世界最強の地であったのだ!
ワシはタイ北部に位置する都市チェンマイの、
とある洞窟に居を構え、
そこを“逍遥庵”と名づけ、
立って三畳、寝て一畳の陋屋にひっそりと潜伏し、
日夜パワーを求めてヒタヒタと活動しておるといった次第なのだ。
諸君、鼻くそをほじりながら斜め読みしている場合じゃないぞ。
耳のあるものは最後まで聞きたまえ!
そんな隠者のワシが“社会性”という言葉に老齢になってようやく気づき、
まあ、哀れな衆生にパワーの秘密を開陳してやるかと、
このブログを始めたというわけだ。フフフフ・・・・。
しかし、残念ながらワシは諸君らの期待にはこたえないだろう。
ん? 論理が破綻してる?
ガハハハ、ワシは論理を愛するが、矛盾も愛するのだ。
諸君らは誰かが答えを教えてくれるだろうと、
親鳥の餌を待つヒナ鳥のようにクチバシを空に向け、他者に依存している。
ダメじゃ! そんなことじゃダメなのだ!
自分の足で歩き、自分の目で確かめ、自分の手で握り締めろ!
ワシはヒントを与えるが、答えは渡さんからな。
答えは諸君らの胸のうちに眠っているはず。
その小さな声に耳を澄ますのじゃ。
2011年1月1日 元旦


